中国でアパレルの仕入れや生産をしていると、避けて通れないのが 「工場と顧客の板挟み」 です。
日本のお客様は当然ながら高い品質を求めます。
しかし実際に生産を担う中国の工場は、日々状況が変わり、契約やルールがそのまま通用しないこともしばしば。
今回は、私自身が直面したトラブルを通して「現場のリアル」と「そこから得た教訓」をまとめます。
発注と不良品トラブル
今回の案件では、発注総数 1,292枚 のうち
- 良品:944枚(出荷済み)
- 不良品:348枚(不良率27%)
という結果になりました。
特に白い生地の商品を中心に汚れが多く、修理できないものは返品せざるを得ませんでした。
- 日本のお客様:「数量を必ず揃えて納品してほしい」
- 工場:「交換不可・追加生産不可。今後の取引も難しい」
結果として私は 「顧客に納品したい」「工場は動かない」 という板挟みに。
謝罪しても、代替案を出しても、怒鳴られるばかり。正直、腹が煮えくり返るような思いをしました。
ニット生産のリードタイム ― 最短3週間〜90日
ニットの現物仕入れについては、条件が整えば 最短で約3週間 というケースもあります。
ただし、これは現物を工場がリスクを持って生産しており、尚且つ「糸や付属品が揃っている」「工場の品質が良い」など、非常に限定的な条件下での話です。
現実的には、品質を確保して安定した納品を行うには、最短でも60日、理想は90日 を見込む必要があります。
- 3週間納期 … 現物があり運が良ければ可能。ただし不良リスクが高く、数量保証も難しい。
- 60〜90日納期 … 工程をしっかり踏むことで、品質と数量を安定させることができる。
つまり、「スピードを優先するか」「品質を優先するか」で結果が大きく変わるのです。
中国では「ルールが通用しない」
日本の感覚では「契約で決めれば守られる」と考えがちです。
しかし中国では 現場が優先される ため、状況次第で昨日の約束が今日には変わることも普通です。
- 昨日は「やる」と言っていたのに、今日は「できない」と平気で言われる
- 契約に「返品交換」とあっても、「今は忙しいから無理」と突っぱねられる
- 結果、不良が出ても泣き寝入りせざるを得ないケースも
つまり、中国での生産では 臨機応変さが何より重要。
ルール通りに進めるだけでは、現実は回りません。
お客様の要求と現実のギャップ
お客様からは次のような要求を受けました。
- 「不良は買い取って新しいものを用意しろ」
- 「アップチャージしてでも揃えろ」
しかし現実はこうです。
- 不良品を買い取っても、日本基準では売れないため意味がない
- 市場工場は追加生産を拒否することが多い
- 日本基準と中国現場のギャップは想像以上に大きい
私は「受けた以上はやり切る」という責任感で動きますが、本音では「自分でやってみろ」と言いたくなるほど苛立つこともあります。
改善のためにできること
このような問題を繰り返さないために、次の改善策を整理しました。
- 発注は前倒しで
繁忙期に入ると、日本向けの小ロットは工場に敬遠される。閑散期に仕込むのが必須。 - 付属品は同時手配
商品発注と同時に、エリネーム・洗濯ラベルを必ず依頼。これがないと検品後の工程が止まる。 - 数量保証=予備生産
数を必ず揃えるには、発注数+5〜10%を余分に生産し、不良を吸収するしかない。 - 工場選びの線引き
市場工場と品質工場、それぞれのメリットとリスクを理解した上で使い分ける。
市場工場 vs 品質工場の比較
| 項目 | 市場工場(マーケット系) | 品質工場(契約工場) |
|---|---|---|
| 単価 | 安い(価格重視) | 高め(+10〜30%) |
| MOQ(最小発注量) | 小ロット可(数十〜数百枚でも対応) | 基本は大ロット(数百〜千枚〜) |
| 納期 | 早い場合もあるが変動大 | 比較的安定、事前に調整可能 |
| 品質 | バラつき大/不良率高(10〜30%) | 安定度高/不良率低(5%以下) |
| 返品・交換対応 | 拒否されることも多い | 契約ベースで補填・対応あり |
| 信頼性 | 日によって「やる/やらない」が変わる | 基本的に契約どおりに進む |
| リスク | 不良多発、納期遅延、追加生産不可 | コスト高だが数量・品質保証あり |
| 向いているケース | 価格重視・小ロット・スピード重視 | 数量保証必須・品質重視・大口取引 |
工程フローチャート(お客様向け)
発注
│ (同時に付属品:エリネーム・洗濯ラベル手配)
▼
生産
│ (日次ロットで入荷)
▼
検品
│ ├─ 良品 → 縫い付けへ
│ └─ 不良品 → 修理/返品判断
▼
付属品縫い付け
│ (検品済み分を順次処理)
▼
再検品・検針
▼
梱包
▼
倉庫入庫
▼
出荷
まとめ ― 現場のリアルから学ぶこと
中国の工場で日本基準のモノづくりをするのは簡単ではありません。
ルールはあっても通用せず、毎日のように状況が変わります。
- 市場工場は安いけれどリスクが大きい
- 品質工場は高いけれど安心できる
この現実を理解せず「安くて良いものを必ず揃えてくれ」と求めれば、必ず板挟みが起きます。
私は今回のトラブルを通じて、
- 発注は前倒し
- 付属品は同時手配
- 数量保証は予備生産でカバー
- 工場選定はリスクとコストをセットで考える
この4つを徹底していくべきだと改めて痛感しました。
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